2014年6月25日水曜日

GEFUNDEN / みつけた

Gefunden 
Ich ging im Walde
So für mich hin,
Und nichts zu suchen,
Das war mein Sinn. 
Im Schatten sah ich
Ein Blümchen stehn,
Wie Sterne leuchtend,
Wie Äuglein schön. 
Ich wollt es brechen,
Da sagt es fein:
Soll ich zum Welken
Gebrochen sein? 
Ich grub's mit allen
Den Würzlein aus.
Zum Garten trug ich's
Am hübschen Haus. 
Und pflanzt es wieder
Am stillen Ort;
Nun zweigt es immer
Und blüht so fort. 
Johann Wolfgang von Goethe

森へ、森へ、たった一人で。
何かを探すわけでもなく。

木陰のひそかに、花は小さく咲いている。
星の輝くように、瞳の光るように美しく。

手折ろうとすれば、かすかにささやく。
手折られ萎れてしまうのでしょうね。

根からまるまる掘り出して、
すてきなお家の庭へとご招待。

それからあなたを静かな場所へ。
今日ものびのび咲き続ける。

ゲーテ

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 原詩二行を日本語一行に置き換えました。訳語を選ぶ上で、原語の意味からやや離れていたり、原詩には無い訳語を加えたところもあります。
 ドイツ詩については詳しいとか詳しくないとかいう次元にいる人間ですので、解説めいたことはできませんが、各行ともアウフタクトから始まり、優しく語りかけるような印象を受けます。それでいて、各行とも非常に短く、弱・強・弱・強というリズムで、それぞれの聯が a, b, a, b という形で押韻されており、楽しい雰囲気も秘めているように思われます。訳詩においても、リズムの良さを活かしたかったのですが、私の稚拙な読解力と貧弱な語彙ではこれが精一杯でした。
 これから眠られぬ夜などには、こうして詩や小説の一節などを訳してみようと思います。

2014年6月12日木曜日

断片、夜の女王

 彼女は夜の中心だった。星も、月も、そしていまは見えない太陽も、すべて彼女を中心として回っている。夜の女王だ。夜の女王は無表情の仮面を外そうとしない。彼女はゆっくりと階段を三つ登って振り返った。私を見下して、白い吐息を零しながら、それでも穏やかに私に語りかけてくる。声が聴きたいのではないの、仮面を外したその素顔をみたいのよ、と女王の従者は心のうちで叫んだ。